理事長 北 澤  晶

はじめに

 どんなに苦しい環境でも、どんなに絶望的な状況でも、私たちは思考を止めず希望を見出し、歩みを進めなくてはなりません。
私たちの住み暮らす長岡は長岡藩開府より400年以上の歴史の中で度重なる災いを受けつつもその度に復活を遂げてきました。日本一の大河信濃川、日本有数の豪雪地帯という土地柄による幾度とない水害や雪害を乗り越え、まちづくりを続けてこられた先達の常在戦場の気概。戊辰戦争と長岡空襲の二度にわたって長岡のまちが焦土と化しても、未来を見据え復興を遂げた不撓不屈の精神。
 これまでに幾度も心が折れそうな悲劇に直面しても、不死鳥のごとく立ち上がり続けた先達の郷土に対しての並々ならぬ愛と足跡は、現代に生きる我々の誇りであります。

~現状認識~ 環境における最善手

 2020年COVIT-19通称「新型コロナウイルス」(以下、コロナウイルスとする。)の感染拡大が世界中に広がり、国際的な混乱に陥りました。そして日本国内においても多くの感染者を出し、感染防止対策の反動による大きな経済損失と、今までの常識を覆す新たな生活様式
の導入が強いられました。そして急激な生活環境の変化によって今までの社会のバランスを保つことが容易ではなくなり、新たに多くの課題が生まれました。しかし、地方都市にとってはコロナ禍以前から抱える人口減少、少子高齢化問題、産業の担い手不足など解決ができていない課題が山積みしているのが実情であります。このような環境の中で私たちは何をすべきなのでしょうか。

・課題を認識せず、目先のことだけを考え刹那的に生きるのか。
・課題を認識し、自らの将来のために利己的に生きるのか。
・課題を認識し、郷土発展のために利他的に生きるのか。

長岡JCは、常に最後の選択肢を選び、現状と向き合い、課題解決に向けた行動を起こしていくべきであります。
私は現状の課題をしっかりと認識をすれば、複数の課題が相関性を伴って解決できる方法を見出すことも可能であると考えています。
私たち長岡JCは、現在の環境における最善手を考え、共感する明るいビジョンを示す使命があります。

~地域の持続的発展~ 新たな企業価値とは

 地域産業の衰退は、市民の経済面や生活環境にも悪影響を与えることから、地域の発展には産業の活性化は欠かすことが出来ません。特に地方圏では中小企業が支える雇用が8割と言われており、経済を動かしているのは中小企業であります。しかし、各産業を取り巻く環境は、人口減少からマーケットの縮小や働き手の不足の状況が続き、将来性のあるICTやIoT、AIなどの技術活用は中小企業にはコスト面から導入は消極的、さらには働き方改革推進の状況下での労務管理の適正化や生産性の確保など、課題は山積みの状況であります。この状況を打破出来なければ、地方産業の魅力は失われ、人口の減少は加速し、地域衰退の未来が待っています。一方で近年耳にする機会が多くなっている持続可能な開発目標SDGsや経済発展と社会的課題の解決を両立する社会Society5.0などの指針が国内外で示されており、これは地方経済という規模で見ても有益な考え方であります。
 長岡市が新潟県の中核都市として機能し続けていくためには、現状の利潤確保のための企業単体の経済活動ではなく、長岡市の未来を見据えた産業全体の体質の強化と合わせて新たな企業価値の構築が必要なのではないでしょうか。地域が抱える課題は、行政の抱える課題ではなく、地域全体の課題です。私は長岡の産業が地域の課題解決と経済成長の両立を図れる産業として、かつての「ランプ会」の様に連携団結できれば長岡の未来を明るく照らせると信じています。私たちには、長岡の持続的な発展の礎を築いていく使命があります。

~組織~ 「今」の積み重ね

 1954年9月5日、地域のさらなる発展を目指した青年有志達により長岡青年会議所は誕生しました。私たちは、先輩諸氏の情熱と努力により積み上げられた輝かしい功績を誇りとし、不変の志を受け継ぎ、郷土発展に尽力していかなくてはなりません。青年会議所の組織は階級制度ではなく、JC運動を円滑に運営するために作るものです。自らに与えられた立場に使命感を持ち、個人の成長と組織力の強化を促すために、責任と権限を明確にした組織を築かなくてはなりません。
 また、効果の高い活動を展開するには、現在の状況を分析し、将来の明るいビジョン、あるべき姿を示し、ビジョンに向かう効果的な手段を考え実行に移す。そして、その効果を徹底的に検証し次のステップへ向かうというサイクルを継続していく必要があります。創立以来、長岡JCが年々進化し続けてこられた所以は、単年度制という制度が生んだ65年間の「今」の積み重ねが脈々と受け継がれているからに他なりません。だからこそ私たちには、「やれる事」「やりたい事」をやる組織ではなく、時代背景から「今」の長岡に必要な「やるべき事」を立案実行できる組織を作る使命があります。

~プロデュース力を鍛えよ~ 手段は無限

 ソーシャルメディアの普及によって情報の発信・収集に欠かせないツールとなったWEBの活用はコロナウイルスの感染拡大防止対策によってさらに加速し、これからの時代のスタンダードとなりつつあります。青年会議所においても、有益な情報を多くの人々へ届けることが出来れば運動の効果は飛躍的に高めることが出来ます。しかし、全世界に誰でも気軽に情報を発信でき、大きな効果が期待できるというメリットと引き換えに、情報の価値を見出されなければ、どんなに有益な情報でも闇雲に情報を発信するだけでは、膨大な情報の中に埋もれ気づいてすらもらえない事も事実であります。情報発信は目的を達成する手段に過ぎないという事を理解し、「いつ」、「誰に」、「何のために」、「何を用いて」、「どのような内容で」情報を発信することが効果的なのかをプロデュースし、検証を重ね、次のプロデュースへ繋げていく必要があります。
 私たちは、情報の受け手の視点を常に考え、有益な情報を発信し、地域のさらなる発展に寄与する使命があります。

~自らを磨き、共に磨きあえ~ 知行合一、習慣は力

 自らのレベルを高めなければ掲げる理想は空想に終わってしまいます。だからこそ、我々長岡JCメンバーは地域の未来に資する活動を行うために自己の成長を促さなくてはなりません。成長するために必要な取り組みは様々ありますが、私は自分を磨く習慣づけが重要であると考えています。本を読む習慣、運動をする習慣、感謝をする習慣、前向きに考える習慣・・・成りたい自分を想像し、自らにポジティブな変化をもたらす習慣を身に付けていけば、自ずと新たな価値観が芽生え明確な理想を描き実現へ導くことができるのです。

・知識は実行して初めて意味を成します。
・一歩を踏み出し、継続すれば自らの未来は変わります。
・自らの未来が変われば地域の未来を拓ける人財と成れるのです。

 また、青年会議所は「学び舎」と例えられ、活動を通じての人財の育成をしてまいりました。時代は変わっても地域に資する人財を育成していく必要性は変わりません。そして、求められる人財は普遍的に求められる素養と時代環境によって変わる素養があります。我々が育成すべき人財は、普遍的な素養、時代によって変わる素養は勿論のこと、将来求められる素養をも身に付けた人財育成を目指していかなくてはなりません。青年会議所は地域の青年経済人の集まりであります。だからこそ、すべての同志から学べる要素があるのです。
 私たちはメンバー同士が磨きあい共に成長できる環境を整え、学びを実践に活かし未来の長岡を牽引できる人財を育成する使命があります。

~未来の育成~ 学ぶ文化

 長岡には1945年8月1日の悲惨な史実があります。長岡JCは1984年以来柿川灯籠流し事業や小中学生に向けた平和学習事業などを通じて、慰霊の想いや平和の尊さを伝えてまいりました。長岡空襲の史実からは、戦災殉難者への慰霊の想い、平和の尊さの他にも戦争の悲惨さ、命の大切さ、戦争へ至った経緯、当時の人々の暮らし、復興を遂げた先達の気概など、掘り起こせば様々な学びがあります。長岡の歴史の中でも空襲は重要な史実であり、後世にわたり多くの市民へ伝えていかなくてはなりません。そして、戦後100年を迎えても風化させず持続可能な学びとして伝えていくためには、子供たちが学習として学ぶ機会を増やしていく必要があるのではないでしょうか。長岡空襲などの長岡だからこそ学べる学習を行っていく事は、地域の宝である子供たちが愛郷心を育み、将来社会に出て活躍できる素養を身に着けることへ繋がります。空襲の史実以外にも長岡の各地域はそれぞれ歴史や文化が存在し、その数だけ学びが存在しています。地域特有の言語や風習や歴史は地域の文化であり、地域の文化はそこに住み暮らす人に共通したアイデンティティとなり
うるのです。 私たちには、未来を担う子供たちに、長岡の文化を通じて、愛郷心を育み、想像力を養える学びを与え、長岡の未来を創る子供たちを育成していく使命があります。

~地域活性~ 人の活力は地域の活力

 平成の大合併から15年以上の歳月が流れ、現在の高校生以下は合併以前の地域をほとんど知らない世代となっています。近年は合併地域という言葉を耳にすることは少なくなり、長岡市の各地域の垣根が低くなってきているようにも感じられますが、若い世代の地域への関心が薄れているということは無いのでしょうか。
 中之島、越路、三島、山古志、小国、和島、寺泊、栃尾、与板、川口、長岡、この11地域には、地域ごとに産業の特色、先達の歴史、祭や民俗芸能等の文化があります。地域の特色や歴史や文化は人が繋いでいくのです。すなわち若い世代の地域への関心が薄くなることは長岡の財産を失うことになります。しかし、言い換えれば若い世代に関心を持ってもらう事が出来れば、長岡の地域資源を守ることに繋がり、延いては地域コミュニティの活性化や人口の流出の抑止、そして各地域の魅力があふれる長岡となれるのではないでしょうか。
 2020年はコロナウイルスの感染拡大防止の観点から様々な地域の催しが中止となり、関係者の2020年の催しにかける想いは強くなっているかと思います。その想いが一過性として終わらずに地域を盛り上げる風土として残していくためには、地域の年長者と若者が共に地域の将来ビジョンを共有し、共に行動して、心を合わせていくことが必要です。私たちは、人の活力が地域の活力へと繋がることを信じ、地域の人々と共に歩み続ける使命があります。

~未来創造~ 歴史は未来の羅針盤

 1868年に起こった戊辰戦争をきっかけに日本は時代の転換点を迎え、今までの価値観が問い直されました。私たちの郷土長岡も北越戊辰戦争によって多くの住民が戦禍に苦しみました。しかし、その逆境から長岡は立ち上がり、復興を遂げたのです。その力を発揮できた源は、今までの常識や価値観が変わった環境においても変わらなかった、長岡藩開府以来の「常在戦場の精神」、戦禍により焼け野原となった中でも、今よりも未来の発展を見据え掲げられた「米百俵の精神」といった「長岡魂」だったのではないでしょうか。その魂は階級を超えた同志で始まったランプ会へと繋がり、戊辰戦争からの復興そしてその後の産業発展に極めて重要な役割を果たしました。そして時代は流れ1918年、当時の60歳以上の有志が長岡の将来のために仕事を残そうと集い、「令終会」が結成され、長岡藩開府300年の節目に市民の力によって、現在の悠久山公園の整備が行われた事も誇るべき「長岡魂」の歴史であります。 さらに、長岡花火が戦後の復興祭から始まった経緯や、中越地震後に打ち上げを始めた復興祈願花火フェニックスの歴史、近年の長岡花火のブランド化などの変遷も、先達から受け継がれた不変の「長岡魂」を現代に伝えています。古い歴史も新しい歴史も紐解くと脈々と受け継がれてきた先達たちの気概が、「長岡魂」として私たちにも確かに潜在しているのだと感じることが出来るのです。
 私たちは、長岡市民に潜在している「長岡魂」を呼び覚まし、未来に繋がるまちづくりを展開していく使命があります。

メンバーに向けて

 メンバーの皆さんにとってJCの価値ってなんでしょうか。一つの価値に縛られている人はいないでしょうか。
人と出会う価値、自らを磨く価値、仲間をつくる価値、まちをつくる価値、組織を学ぶ価値、新たな気づきを得る価値・・・取り組み方でいろいろな価値が得られるのがJCです。単年度制だからこそ、一期一会の出会いがあるのがJCです。出会いと機会を活かして多くの価値を見出して下さい。会社にも家庭にも胸を張って活動ができる1年とできるよう邁進していきます。共に学び共に未来を創りましょう。

終わりに

 コロナウイルスの影響によって社会情勢が目まぐるしく変わる中で、今は潜在している課題がこれから顕在化しはじめ、益々世の中に不安が広がっていく事も予想されます。
 しかし、今の社会を支える大人世代が希望を持てなければ子供たちも希望を持てるはずもなく、市民が長岡のまちの魅力を感じることなど出来ません。私たちは、課題から目をそらさず、いかなる場合も希望を見出し進んでいかなくてはならないのです。
 未来の可能性は無限にあります。私たち長岡青年会議所は歩みを止めません。
私たちは未来を創る使命があるのです。

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