理事長 今泉 知久

 私は常に「より良くあってほしい」と願っています。それがたとえどんなに困難な時代でも、どんなにすばらしい時代であっても今日より明日が良くあってほしい。そのような想いをもって私は長岡青年会議所の門を叩きました。私は長岡青年会議所に入ってから多くのすばらしい出会いに恵まれました。出会いには人の未来を変える力があります。まだまだ未熟な私ですが、今日まで成長することができたのは、様々な方と出会い、学び、導かれたからです。私も誰かの未来をより良く変える存在でありたい。そして関わる全ての皆様方が健康で幸せであってほしいと願っています。そんな願いと祈りを込めて私の考えを申し述べます。

令和という時代の始まり

 新元号の令和は、明日への希望とともに、日本人一人ひとりが大きな花を咲かせるという願いを込めて選ばれました。では明日への希望とは何なのでしょうか。昭和から平成、そして令和と時代が流れる中で、それぞれの時代で様々な問題が発生してきました。それらは先達の努力と情熱により解決されてきましたが、逆に深刻化してきた問題も多くあります。また、価値観も大きく変わってきており、それはふるさと長岡においても同様であり多くの人々がこのままではいけない、変わらなければならないと考えていると思います。社会構造や価値観の変化により、当たり前と言われた考え方や生き方が揺らぎ、進むべき道を皆それぞれが模索する時代となりました。

 これまで地域が発展する主な方法は、地域経済が良くなり、人が集まり、さらに地域経済が発展していく好循環を生み出すことでした。しかし新潟県全体では、2018年だけでも約20,000人の人口が減少しました。我々の住み暮らす長岡市でも人口は減少し続けています。企業の発展の基盤となる人財の確保は容易ではなくなっており、人口減少していく経済圏で商売をしている我々の多くはそれに比例して売上が減少し、売上が小さくなれば経済人である我々は地域社会への貢献機会を失います。このような中で、会社を維持し、発展させるには商売を行うエリアと業種を広げていかなければなりません。しかし、そうするにも人財を採用していく必要がありますが、人財を得るにも簡単な時代ではなくなっており、負のスパイラルに陥りつつあります。このまま人口減少が進めば長岡は次第に活力を失い誇りも希望も持てないまちとなっていきます。私たち青年は現実から目をそらすことなく、危機感をもって行動しなければならないのです。

 では、どうすれば人が集まり、魅力あるまち長岡になるのでしょうか。私がこれまで青年会議所が掲げてきた明るい豊かなまちづくり活動を行う中で改めて思うことは、活力の両輪とは自由と多様性であり、寛容こそ肝要であると。そして寛容によって協調が生まれてきます。価値観とは、「何に魅力を感じ、何に満足するのか」ということであり、価値観が多様化している今こそ、その多様化する価値観を理解し、個人を尊重しながら、価値観が違っていても笑いあえる場所・文化のあるまちとなっていくべきです。世代によっても、個人間でも価値観に差はありますが、違うからといって排除するのではなく、互いに理解しあう文化をつくることが大切だと思います。人は理解されることで、希望が持てます。人は希望を持つことで新たなことに挑戦するエネルギーが生まれます。それは社会的に成功することや偉大な何かを達成するということだけではなく、一人ひとりが自分の価値観でそれぞれの夢を抱き、挑戦できることであり、多様性に溢れ、それを共有できる居場所があって、人生を共に笑顔で分かち合えるまちになるべきだと思います。まずは「社会が発展することにより、経済を発展させる」という考えに転換する必要があります。

“寛容さから生まれる協調が、自由と多様性を加速させ、生まれた活力は希望ある長岡の未来を描く“

4つの戦略

 希望ある長岡の未来を描くために我々長岡青年会議所はこれまでに諸先輩方が積み上げてきた経験と実績、各団体との繋がりという強みを活かし、単年度制による継続性という弱みを克服する4つの戦略を実行します。

1つ目の戦略は力ある能動的な青年を増やすことです。
希望ある社会とは一人ひとりが挑戦することのできる社会であり、そこで最も積極的に挑戦して成長を遂げ、社会を動かす力を持つのは我々青年であるべきです。長岡青年会議所は青年に動機付けすることで、より多くの同志を作り、会議を通して挑戦する機会を作り出すことで青年を成長させ、力ある青年を増やします。

2つ目の戦略はパートナーシップを築くことです。
青年会議所の力だけでは社会を変えることは容易ではありません。長期的な変革を実現するためには目的を共有できる個人や団体と信頼関係を醸成し、より大きなムーブメントを巻き起こします。

3つ目の戦略は社会実験を行う事です。
誰もやったことがないことに人は恐れを感じるものです。目的を明確にし、検証を行った社会実験は政策に実績という根拠を与え、社会運動を巻き起こします。私たちだけで社会実験を実施してもその影響は限られたものにしかなりません。パートナーとともに企画し、ともに資金を集め、ともに発信し、ともに実施し、より大きな運動を巻き起こします。

4つ目の戦略はシンプルにポジティブなメッセージを発信し続けることです。
ネガティブな言葉だけで人々の不安や危機感を煽ることは容易ですが、そこに希望はありません。シンプルな言葉で伝えることは、多くの人々の共感を生み、ムーブメントとなります。また、我々の事業の中で「今よりもっとより良くなれる」という希望を発信することは、これまでまったく無関心だった方にも関心を持ってもらうきっかけとなります。ポジティブなメッセージのもとに具体的な行動が伴えば、それは社会を変える運動となります。明確な高い目標を持ち、シンプルでポジティブなメッセージに想いを乗せ、誰もがわくわくするような希望を発信していきます。

 力ある青年が率先して一歩を踏み出し、市民の「心を動かす」運動を展開し、そしてパートナーと社会変革の契機をつくった時、社会により良い変化をもたらす大きなうねりとなるムーブメントを巻き起こすことが出来ると私は信じています。

“希望があるからこそ人は前に進める”

巨人の肩に

 65年前に長岡で青年会議所活動が始まった時に比べ、私たちははるかに良い条件のもとにおかれています。私たちは歴史ある長岡青年会議所運動の偉大な「巨人の肩」に乗っているのです。私たちが目指す先がどんなに遠くとも、諸先輩方が積み重ねてきた実績とそれに伴う、周囲からの信頼があります。会員一人ひとりが過去の実績を振り返り、その経験と想いを誇りとして継承することができれば、大きな巨人の肩に乗って遠くを見渡すことができます。青年が時代の変化をとらえ、能動的に問題を解決しようとするとき、社会は必ず動き出します。私たちはいつまでも青年でいることはできませんが、私たち自身が何歳になっても挑戦できる社会の実現は可能です。英知と勇気と情熱をもった青年として、今日までの65年間、組織を作り上げてきた諸先輩方に感謝し、私たちの活動に理解と協力をしてくれた市民に感謝の場を設け、長岡の明るい豊かな社会の創造に向けて新たなスタートを刻み、希望ある未来を描きます。

誇りを胸に

 個人が集って組織となった時、組織の意思決定を行う必要があり、会議の内容如何によって得られる成果の大小が決定します。その会議が漫然となされた場合には、時間を浪費し事業の質ひいては個人や組織の意欲も低下させます。一方で機動的で有益な意見を出し合い、主体的なメンバーによって行われた会議は、質の高い事業を生み、社会により良いインパクトを与え、その過程の中でメンバーの思考や表現力を高め、活動の意義を見出す機会を増やし、そしてより良い青年会議所活動や運動を対外へ発信するという好循環が生まれます。その時メンバーは自身の活動に必ず誇りを抱きます。活動に誇りが生まれたとき、それは夢あふれる社会の創造への大きな原動力となります。市民の皆様方や諸先輩方の信頼と期待にこれからも応え続けられるべく、メンバーとしての責任と自覚をもって組織の基盤を大切にしていきます。

力ある青年を

 この10年で人々の社会的価値観は大きく変化してまいりました。一方で会員を受け入れる我々の組織体制は変化してきたでしょうか。昨今長岡青年会議所はメンバーの減少に危機感を覚え、会員の拡大運動を巻き起こし大きな成果を上げてきました。人づくり団体としてメンバーに更なる成長と発展の機会を設ける為に柔軟な組織改革を行っていきます。しかし柔軟だったら何をやってもいいのではなく長岡青年会議所の意義や目的を理解し、全世界が取り組む「JCIミッション」をさらに効果的に長岡に取り入れる方法を学び、積極的な新メンバーが活躍する機会を創出します。歌舞伎の世界でも「型があるから型破り、型がなければ只の形無し」と言われるように長岡青年会議所がこれまで65年間作り上げてきた歴史を「長岡流」という型にし、メンバーを動機付け多くの同志を作り、より良い変化をもたらせる誇り高い人財育成を行っていきます。

次世代に希望を

 2020年は東京で4年に一度の平和の祭典オリンピック・パラリンピックが開催されます。長岡中の子供たちがスポーツに興味をもち、新しくスポーツを始めてみたくなる人も増えることでしょう。次世代を担う子供たちがスポーツに取り組むきっかけを作ることは、子供たちに夢や目標を与え、自己肯定感を育み、自己研鑚による成長の機会を与えるなど、子供たちの人間形成において様々な良い効果をもたらします。そして、オリンピックと一言で言ってもその種目は多岐にわたり、普段目にすることのないスポーツもあります。マイナースポーツと呼ばれるものにもそれぞれ歴史があり、人を夢中にさせる魅力があります。様々な競技を観たり体験したりすることにより、自己の新たな可能性の発見につながることもあります。長岡青年会議所は子供たちの可能性を広げ、人間形成の機会を創出し、未来の希望を育んでいきます。また、社会全体にも活力を生み出すことがスポーツの良さだと私は思います。参加しても観戦しても共に目的を共有する一体感は普段の生活ではなかなか経験をする機会がありません。多くの人々がスポーツに慣れ親しむ機会を創出し、市民が一体感を共有し、達成感を得て、希望を感じることのできる長岡を描いていきます。

平和を願い、活力ある長岡へ

 2020年8月1日で長岡空襲から75年になります。1945年8月1日午後10時30分から1時間40分もの間にわたっておびただしい数のB‐29大型戦略爆撃機によって長岡の旧市街地は爆撃され、現在わかっているだけでも1488名の尊い命が失われました。長岡市には多くの困難の歴史があります。だからこそ、長岡市民は平和であることを大切にし、平和を願っております。これまで長岡青年会議所メンバーは長岡空襲の史実を学び、戦災殉難者への慰霊の想いと、復興にご尽力された先人達への感謝、そして平和の尊さを地域の未来を担う子供たちへ伝えてまいりました。この平和活動をより恒久的かつ広域的に発信していくには道標が必要です。悲惨な史実を風化させることなく、恒久平和の想いを広く後世へと伝えることのできる人財を育てると同時に、明確な高い目標を打ち出し、誰に対しても何の為に平和運動をやっているのかを明確にして広く発信をしていきます。そして長岡の人々の平和を愛する心に誇りをもってもらい、恒久平和への願いを伝播していきます。

長岡空襲の翌年の8月1日に「長岡の団結の力を発揮したい。大いに頑張ろう」と開催されたのが、長岡まつりの前身である「長岡復興祭」です。復興や平和をテーマにしたお祭りは数少なく、市民が一丸となって毎年これほど大規模に開催される平和祭は世界的にも珍しいものです。戦災復興だけでなく、新潟県中越地震からの復興も掲げ、市民の気持ちに寄り添い、活力と希望を与えてきました。これまでも長岡青年会議所は様々な事業展開をし、参画してきましたが、今年も長岡まつりを長岡に希望をもたらす最大級の発信の場であると考え、関係諸団体とパートナーシップを築き、長岡市民一人ひとりがわくわくし、希望や誇りを持ち、未来へ向かう活力となる機会を創造します。

誰もが挑戦できる生涯現役社会の実現

 人は誰もが年を取り、いつかは高齢者となっていきます。近年、高齢化社会の負の側面を意識されがちですが、いつまでも健康で年を重ねることが出来ることは幸せで誇るべき事なのです。ただ高齢化社会の問題を挙げるとすれば、年齢を理由に個人の成長が止まり、組織の成長が止まり、社会の成長が止まることです。言い換えれば、現状に満足した時、あるいは諦めた時、新たなものは次第に受け入れづらくなり、そのような考え方が多くなったとき、多様性をもった寛容な社会とは反対の方向へ行ってしまうという事です。何歳になっても生涯現役でありつづけるには生きがいをもち挑戦することが不可欠です。高齢者がいつまでもハツラツと生涯現役で過ごせるまちであれば、健康寿命は伸び、社会保障費は抑えられ地域に新たな経済循環を生み、自由と多様性の溢れる活力あるまち長岡が生まれます。長岡青年会議所では、性別や年齢や置かれた条件を問わず、誰もが挑戦し生涯現役であり続ける社会を実現します。

終わりに

 私は未来の長岡が希望に溢れるまちであってほしい。次世代を担う子供たちが健全に友情を育み、学問に励み、スポーツに親しみ、家族の愛を一身に受け成長できるまちであってほしい。情熱に溢れる若者が夢を抱き、個々の多様性が認められ、挑戦し青春が謳歌できるまちであってほしい。社会の第一線で今を描く青年が活力に溢れ、仕事に燃え、家庭を築きたいまちであってほしい。社会を牽引し支えてきた高齢者が大切にされ、いきいきと生涯現役で挑戦できるまちであってほしい。
日本全体を取り巻く社会問題を解決することは簡単ではなく多くの困難が伴います。誰もが進むべき方向を必死に探しています。しかし、長岡はフェニックスを象徴とするようにどんな困難においても、不撓不屈の精神で何度も立ち上がって来ました。現状に危機感を持ち、具体的な行動を興し、社会を変える運動を巻き起こしましょう。希望があるからこそ人は前に進むことができる。

“Make Hope.”

TOPに戻る